米国株投資というと何やらハードルが高そうなイメージがあるが、実はネット証券などを活用すれば簡単に、しかも低コストで投資をすることができる。特集『高利回り商品 総点検』(全12回)の#3では、証券会社選びや手数料の注意点など米国株投資の基本を解説しよう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
株式市場の急回復で
米国株投資が人気に
いま、にわかに米国株投資の取引件数が増えている。楽天証券によると、今年9月の米国株の約定件数は、前年同月比でなんと14倍に増加。6月は同17倍にも上ったという。
新型コロナウイルスの感染拡大以後の株価の急回復が投資を後押ししているだけでなく、ここ数年、ネット証券などで取引手数料の価格競争が進み、取引ツールなどがより手軽に扱えるよう進化した。さらに、米国株投資を取り上げた書籍やブログ、ネット証券の分析レポートなど、以前に比べて情報は格段に充実しており、いまや日本株と同じぐらい米国株は身近な存在になったといっていい。
米国株投資の特徴、それは日本株とは比べものにならないほど圧倒的な成長力だ。日本株と米国株の代表的な指標であるTOPIX(東証株価指数)とS&P500を比べてみると、その差は一目瞭然。1989年初から足元までの伸び率では、S&P500が25倍なのに対し、TOPIXは30年余りもかけて微増にとどまる(下図参照)。
また、株主への還元を強く意識する米国では、「連続増配株」が多いことも特徴の一つ。25年以上連続で増配している企業は優に100社を超えており、日本で25年以上増配している企業が数えるほどしかないのとは対照的だ。実は、単純に配当利回り自体を比べると、TOPIXとS&P500での差はあまりない。だが、それはS&P500の構成銘柄が配当と同時に株価も上昇しているためで、いわばこの連続増配企業の多さこそが、圧倒的な成長力の証しなのだ。
人口増加やイノベーションを背景に経済成長が続くなど、今後も安定的な拡大が見込まれる。それが米国市場だ。
では、次ページからは、米国株への投資を始めたい人に、お得な証券会社選びから手数料の注意点や税金で損しない方法まで、さまざまなポイントをお伝えしよう。