総予測#17Photo by Masato Kato

コロナ禍の中でも堅調な株式市場はどこに向かうのか。特集『総予測2021』(全79回)の#17では、経験豊富な市場のプロ2人による新春株式対談をお届け。マクロとミクロの両面から地球株投資を語る一橋大学大学院経営管理研究科の藤田勉特任教授と、人気ストラテジストとして知られるJPモルガン証券の阪上亮太チーフストラテジストの両氏が、2021年の見通しや市場リスク、日本企業の課題などをテーマに語り尽くした。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

10年サイクルで動く株式市場
2020年代最大のテーマは「DX」

――今後の株式市場のシナリオをどのように考えていますか。

藤田勉氏(以下、藤田) 私はグローバルな株式市場が、大きな流れとして10年単位で動くと考えています。例えば1980年代は日本の資産バブル、90年代は米国のITバブル、2000年代は新興国バブルが起きました。10年代はバブルこそ起きませんでしたが、米GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の台頭などの動きがあったわけです。

藤田勉・一橋大学大学院経営管理研究科特任教授ふじた・つとむ/一橋大学大学院国際企業戦略研究科修了。元シティグループ証券副会長。約30年、ファンドマネジャーやストラテジストを務めた。2010年まで日本株ストラテジストラニング5年連続1位 Photo by M.K.

 そして、20年代はDX(デジタルトランスフォーメーション)が最大のテーマだと考えています。GAFAはデジタルプラットフォーマーとして成長した存在ですが、DXの典型例だと思うのはEV(電気自動車)の米テスラです。

 基本的に自動車は今後、ガソリン車主流だったのがEVや自動運転に代わっていきます。アナログからデジタルに移るわけですが、テスラは販売もオンラインで行っています。キャッシュレス決済事業者や(ビデオ会議サービスの)米ZoomなどもDX関連です。

 また、私は株式市場を見るとき、基本的に「米国株」「日本株」のような定義の仕方は古いと思っています。トヨタ自動車だって利益の過半は海外だし、逆にアマゾンやグーグルは日本でビジネスを行っています。そこで日本株や米国株といった概念を取り払ったときに見えてくるのは、結局DXの有力企業は圧倒的多数が米国という現実です。よって、この先も結果的に米国株が上がると考えています。

日経平均株価は
21年前半に3万円も

阪上亮太氏(以下、阪上) 日本株は21年の前半まで強気相場が続くとみています。日経平均株価の上値の想定は3万円です。

 日本の企業業績は20年度まで3期連続で大幅減益の見通しですが、21年度は4割以上の増益を見込んでいます。