見た目はワイルドでも繊細さが評判の次期社長
伊藤忠の“ドン”が先祖返り発言で不安も

 新たにファミマ社長に就任する細見氏は、まさにこの第8カンパニーのトップを務めてきた人物だ。スキンヘッドに極太ストライプ柄のスーツ、指には大ぶりの宝石が付いた指輪と、見た目にはワイルドさが際立つが、「繊維部門でブランド商売の経験が長い。大規模な取引ばかりしている商社マンにありがちな大ざっぱな性格とは違い、丁寧でよく気が付く人物」(伊藤忠グループ幹部)との評がある。

ファミマの新社長に就任する細見研介氏
ファミマの新社長に就任する細見研介氏 Photo:JIJI

 細見氏は幼少時こそ都内で育ったが、少年時代に兵庫県尼崎市に転居し、周囲からつけられたあだ名が「東京」。それまで身に付けた標準語を捨て、自ら必死で関西弁に矯正して今に至る。なるほど繊細さと環境適応能力は高そうだが、細見氏に求められるのは、従来のコンビニ業界の流儀に適応することではない。

 コロナ禍で飲食店を離れた従業員がコンビニの求人に応募するなど、人手不足には若干の改善が見られるが、前述のとおりコロナ禍で外出する人の減少によって加盟店の売り上げが低下しており、瀕死の状態にあるオーナーは少なくない。

 にもかかわらず、ファミマと同日に伊藤忠の社長交代が発表されてもなお、同社会長CEOの座に残ることが決まったグループ最高実力者の岡藤正広氏は、昨年7月23日付の日本経済新聞のインタビューで以下のように語った。

「コンビニエンスストアだって原点に戻らないと。一番大事なのは商品力だが、もう一つは利便性。今、24時間営業をやめるという議論があるが慎重にしなければならない。コロナ感染でトイレも使わせないという店もあるが利便性は損なわれていないか。考え直さないといけない」――。

 ファミマは今年、サークルKサンクスから転換した約5000店と結んでいた5年間のフランチャイズ契約が満期を迎えるが、苦境が続けば加盟店のオーナーたちは契約を更新せずに廃業する可能性が高い。市場環境が往時と激変しているにもかかわらず、岡藤氏が言うような“先祖返り”を求められては、彼らのモチベーションは吹き飛んでしまうであろう。

 それでもなお、ファミマが抱える1万6000を超える国内店舗網の貴重さは変わらない。これを生かすも殺すも、岡藤氏や細見氏の意思と手腕にかかっている。