総予測#41
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コロナ禍が直撃した2020年の総合商社業界。各社とも守りに追われたが、新規ビジネスの創出など攻めの一手を打たなければ商社の存在意義はない。反転攻勢の兆しはあるのか。特集『総予測2021』(全79回)の#41は、伊藤忠商事の鈴木善久社長に21年の展望を聞いた。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

今期目標の純利益4000億円達成へ
業界トップ企業が見据える次の一手

――コロナ禍に見舞われた2020年、総合商社は重厚長大系や資源系のビジネスで大きな打撃を受けました。伊藤忠商事への影響はどうだったのでしょうか。

 比較的想定の範囲内でした。伊藤忠の場合、岡藤(正広)会長が社長になった10年くらいから事業のポートフォリオを生活消費分野に移し、10年かけて収益力を高めてきたわけです。そのため重厚長大系や資源系への影響は相対的に小さくて済んだ。

 ただしそれなりの規模感がある機械、中でも自動車とエアライン関係は顕著に影響を受けている。また百貨店さんを中心とした販売形態の繊維ビジネス、都市部に強いファミリーマートも在宅勤務で来客数が落ち込んだ。

 その辺の影響はもちろん出ていますが、それ以外の部分で吸収している。海外では中国の経済回復が早く、売り上げを戻している。北米はリフォーム需要で建材系ビジネスが強い。

 こうした生活消費分野への切り替えが、総合商社の中でも早くできていたことに加え、実は19年夏ごろからかなり強い危機感を持っていたことが大きい。

 ずっと右肩上がりだった株価が一時的に急落し、例年10月の特別経営会議を1カ月早めて開いた。そこで大型投資は控えようとか、不良債権化しそうなところがないか調べ上げろとか、こういうことを話し合った。それは結果として杞憂に終わり、株価はその後22回にわたって最高値を更新し続けたわけですが、年が明けてコロナ禍という形で危惧が現実化した。

 20年度はいわば「戦時下」の単年度予算。「か・け・ふ」(稼ぐ・削る・防ぐを略した標語)がうちの行動指針だが、「防ぐ」に焦点を絞ったおかげで不良債権化した事業はほとんどない。平時から有事に備えることが非常に大事だと改めて思い知らされた一年でした。

――伊藤忠の20年度純利益目標は4000億円。業界最高水準ですが、達成できるのでしょうか。