EV電気代を安くする方法
電気代については注意点もある。EVの場合、自宅の普通充電だけで済まないことがある。出先や移動中にも充電することを考えると、充電認証カードが必要だ。この契約やプランによってEVのランニングコストが変わってくる。
充電認証カードは、NCSやエコQ電といった事業者が提供するものや、ディーラー各社が提供するものがある。高速道路やコンビニの充電器を利用するには、事業者やディーラーのプランに申し込んで充電認証カードを発行してもらう必要がある(カードなしでも利用は不可能ではないが手続き操作が毎回必要になる)。充電料金は、事業者、ディーラープランによってさまざまだが、月額基本料は1000円前後から5000円くらいまで用意されている。充電単価は、1分あたり15円から50円などと月額に応じて変わってくる。
チャージプランについては、スマホの通話プランを考えるとよい。一般に基本料が安いほどチャージ単価が高くなる。つまり、自宅充電が可能で遠出をほとんどしない場合、チャージ単価が多少高くても、月額基本料は安いほうがよい。月にどれくらい外充電を行うかは、実際にEVを所有してみないとわからない。ディーラーやサイトで料金シミュレーションが可能なので、まずは提示プランを契約してみて使い方の様子をみてから、プランの最適化を行うとよい。
・自宅充電あり:月額が安いプランをベースに外充電の回数をシミュレートして決定
・自宅充電なし:月額4~5000円のプランで課金充電がもっとも安いプラン
・事業者プラン:ディーラープランに適当なものがない。複数メーカーのEVを所有する場合に検討
電気代の契約事業者によっては、EVを前提としたプランを用意しているところもある。自治体によってはEV購入やソーラーパネル導入に補助金を設定している場合もある。これらの情報はディーラー担当者に聞けば教えてくれる。
充電のコツはリチウムイオンバッテリーの特性にあり
EV初心者にありがちな誤解は、充電時間と充電量について比例のグラフをイメージすることだ。同じ充電器で同じ時間充電したても、バッテリーの残量や温度などによって、充電できる量は同じではない。
一般に、バッテリーの充電は、容量が多いほど充電時間がかかる。また、残量が多いほど高い電圧が必要で、充電時間も長くなる。他にも充電器そのものの出力、バッテリー側の充電能力によってもかかる時間が変わってくる。いくら大出力の充電器でも、車両側が受け入れられる耐圧・電流容量以上の充電はできない。とくに急速充電では、車両側がバッテリー保護のため、受け入れ容量の制限や、100%まで充電できないように設定している。つまり、急速充電器の出力が90kWhあっても車両側が対応していなければ充電できる量は変わらない。
リチウムイオンバッテリーは、その性質上、毎回充電と放電を0:100になるように意識する必要はない。急速充電はバッテリーの負担にもなるので、EVの充電は継ぎ足し充電が基本となる。スマホのバッテリーも同様だが、充電ごとに100%を目指すことに大して意味はない。
以上のEVバッテリーの基本的な特性は、EVオーナーのリテラシーといってもよい。これを押さえておけば、電力量ではなく、時間単位で課金される外充電で、100%に近づけようと何度も続けて充電しようとするのがいかに無意味なことかわかるはずだ。