言論の自由は保証されているものの
学校から自己退職を仕向けられた

高校教師のマーク・ポントニ高校教師のマーク・ポントニ

 教師の雇用契約には、言論の自由の保証が含まれている。「つまり学校側は、個人のツイートの内容を理由に私を解雇することはできないと知っていた」とマーク。

 だが、放課後に彼がコーチとして指導していた野球部の活動は、教職契約には含まれないという理由で、彼はコーチ職を解雇された。長年、放課後のグラウンドで生徒たちと一緒に練習で汗を流し、大会でも連勝し、前年には北ミシガン最優秀コーチ賞を受賞していたマーク。そんな彼にとって、こよなく愛する野球部員たちの指導ができなくなったことは、殺害予告よりもつらかったという。

「学校側は、私の居心地をできるだけ悪くして、私が自ら退職するのを期待していた。だから歯を食いしばって、辞めずに務め続けたよ」

 周囲の批判に晒されながら、彼は2019年2月まで教壇に立ち続け、ソーシャルスタディーズ(社会科)を教えた。その後は妻と共にミシガン州南部のイーストランシングに引っ越し、別の高校で教鞭を取っている。

マークが住む、文豪ヘミングウェイが愛した街の美しい湖畔風景マークが住む、文豪ヘミングウェイが愛した街の美しい湖畔風景

 彼はトランプ政権の4年間をこう振り返る。

「長かった。苦しい日々だった。もし今回トランプが再選したら、妻と国外移住するつもりだったよ」

 政治や世界史などの題材を通じ、彼は保守派の生徒もリベラルな生徒も、教室内で誰からも嫌がらせや脅迫を受けずに、自由に意見を言えるような場所づくりを心がけた。

 米国の学校では、生徒たちが胸に手を当て、起立して星条旗に忠誠を誓う宣誓の儀式がよく行われる。フットボールの試合などでこの宣誓をやらない生徒が、仲間から小突かれていじめられることがあった。マークは、立って宣誓をやりたくない生徒には、やらなくてもいい自由があることを全員の前で伝えた。

 現在大学2年生で、当時彼の生徒だった男子学生は、「あれだけ四方八方から批判が飛んでくる針のむしろのような状態で、先生はよく辞めずに教え続けたと思う。見ていて心が張り裂けそうだった」と語る。