東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が、“女性蔑視”発言で引責辞任に追い込まれた。そのことは、日本の社会は依然、男性中心の体質が根深く残っているのではないかという疑念を深めた。そこで今回は「女性役員ゼロで時価総額が大きい企業ランキング」を作成。上位2位に信越化学。そして高年収で有名な、あの企業が1位に浮上した。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

女性役員ゼロの国内上場企業は1900社以上!
その中で時価総額の上位は?

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が2月12日、女性蔑視と受け取れる発言をしたことで、引責辞任に追い込まれた。今月3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の会合で、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と述べたことで、女性差別との批判が国内外で高まっていた。

 森氏の不適切な発言に対して、多くの東京五輪のスポンサー企業が不快感を示した。NHKのスポンサー企業70社への調査によると、回答した54社のうち36社が「森氏の発言は容認できない」と答えている。

 中でもトヨタ自動車は豊田章男社長の名前で「トヨタが大切にしてきた価値観とは異なっており誠に遺憾である」とのコメントを発表している。

 日本の社会や組織は依然、男性中心の権威主義や閉鎖的な体質が根深く残っているのではないか――。森氏の“女性蔑視”発言をきっかけに、そうした疑念が深まってしまった。

 そこで今回は、上場企業が提出した有価証券報告書の「役員の状況」に記載されたデータを使って、「女性役員ゼロで時価総額が大きい企業ランキング」をお届けする。

 対象としたのは国内の証券取引所に上場している企業3730社。東京商工リサーチの集計データを基に、2019年4月期~20年3月期の数値を使って、女性役員がゼロだった会社を時価総額(2月10日終値ベース)の大きい順にランキングした。

 ちなみに今回、旧態依然ぶりがあらわとなり、袋だたきにされた格好の大会組織委だが、実は理事会のメンバーを見ると、理事35人のうち7人は女性となっている。さらに、大会組織委の武藤敏郎事務総長(77)は12日の記者会見で、理事会の女性比率をさらに高める方針を示した。

 一方、女性役員が一人もいない上場企業は実に1900社以上で、全体の半分以上を占めているのだ。それでは、詳細を確認していこう。