進化したFCV技術を
大型商用車などに活用

「一方で、FCVは90年代末頃から『究極のエコカー』として自動車各社が開発を進めたのですが、コストやインフラの課題を抱えながらトヨタが2014年に初代MIRAIを世界に先駆けて投入したのです。同じくホンダさんもFCVを投入されたのですが、普及への道は遠かった。それで『水素社会の実現を目指そう』と昨年開催される予定だった東京オリ・パラで、FCVのショーケースを皆さんに見ていただくプランを温めていました。

 昨年12月に設立された『水素バリューチェーン推進協議会』は、産業セクターを超えた88社の会員の中には産業界とは異なる視点を持つ金融機関にも入ってもらい、SDGs(持続可能な開発目標)など環境投資で“未来に向けた企業成長を導く”という切り口で水素社会の受容性拡大を進めていきます。水素の社会実装は難しい課題でもありますが、異なる産業セクターが腹を割って話し合い、政府に対してもまとまって規制緩和を提言していきます。

 トヨタが12月に第2世代MIRAIを発売しましたが、最新のFCVとして大きく進化しました。お陰さまでトヨタの上級セダンとして高い評価をいただいていますし、進化したFCV技術を大型商用車などに活用していくことになっています。

 実は私も早速、この新型MIRAIを購入し、ナンバーを4020(CO2ゼロ)にしました(笑)。

 BEVにしてもFCVにしても車載電池の技術革新やインフラ整備の連動に加えて、その特性を生かした利便性など最終的な電動化の道筋は、世界各国事情でいくつかの選択肢があるということです」

上司から
「21世紀のクルマを作れ」

 内山田会長は、かつて1997年末にトヨタが市場投入した世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」の開発チームを率いてエコカーの普及に貢献、Mr.HV(ミスター・ハイブリッド)として知られる。

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「90年代半ばに、上司から『やれ』と言われたのが『21世紀のクルマを作れ』でした。そこで『21世紀のクルマ社会の課題を解決するクルマ』を指針とし、自動車としての利便性を失わない製品を作ることと捉えました。

 結果、21世紀のクルマの課題として『資源・環境問題』が見えてきて、『圧倒的なエネルギー効率の向上』と『CO2削減を図る』こと、これこそが「未来の自動車会社が求める価値」だという答えに行き着いたのです。

 そこから資源・環境に向き合い、圧倒的な燃費改善に加えCO2排出量を半分以下にする内燃エンジン+電気モーターのHV車開発を提案しました。

 当時の社内での下馬評は『却下されるだろう』でした。

 ところが、『経営判断』により認められたのです。HVのプリウスは、『社会課題の解決』から生まれたテクノロジーであり、イノベーションでした。以降、クルマの電動化の流れを切り開くことになったのです」