アイミーブ2009年に三菱自動車が世界初の量産型BEVとして発売した「アイミーブ」 Photo by Koichiro Imoto

地球温暖化対策のための「脱炭素化」が進む中、「クルマの電動化」はますます進むのは間違いない。そこで、「軽自動車は、コスト削減要求も厳しいため、電動化が難しい」という「軽自動車消滅説」が流れている。本当に軽自動車は電動化の波を乗り切れず、なくなる運命なのだろうか。(ジャーナリスト 井元康一郎)

軽自動車は
電動化の波を乗り切れない?

 2020年の年末、菅義偉首相の2050年カーボンニュートラル宣言と前後して飛び出した「2030年代半ばに非電動車の新規販売終了」の報。今日、欧州では内燃機関を積むクルマの販売終了目標の前倒しを宣言するのがブームとなっているが、自動車業界の渉外担当者によれば、小泉進次郎環境大臣はそれと共同歩調を取りたいという気持ちが強く、菅義偉首相もそれを是認しているという。

 もっとも、日本の方針は欧州に比べると現実的だ。政府の言う電動車とは、BEV(バッテリー式電気自動車)やFCEV(燃料電池車)のように、走行段階ではCO2を排出しないクルマだけを指すのではない。電気モーターを走行の全部または一部に使用するものの、走るためのエネルギーには石油系燃料のみを使うハイブリッドカーまで含む。

 果たしてクルマがEVに置き換わったら電力や資源は大丈夫なのか、個人ユーザー、フリートユーザーはそれぞれ出費に見合うメリットを享受し続けられるのか、CO2はどのくらい削減できるのか――。