渋谷
2020年10~12月期の実質GDPが好調だった日本。しかし、実体経済のV字回復に向けたハードルは高そうだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「黄金の20年代」再来を
視野に入れる米国の実情

 今冬、緊急事態宣言の発令に代表される新型コロナの感染対策によって、主要各国が再び景気回復の足踏み局面に陥った。しかしながら、検査陽性率の顕著な低下やワクチン接種率の上昇は、2021年度における経済の「V字回復」の可能性をもたらしていることもまた事実である。

 かかる状況下、株式市場の活況が象徴するように、米国では「黄金の20年代」再来のシナリオが織り込まれ始めているようにも見える。現在から遡ること100年ほど前、スペイン風邪の収束後には米国を中心として、「黄金の20年代(あるいは狂騒の20年代)」と呼ばれる未曽有の好景気が訪れた。

 その背景は第一次世界大戦および感染渦中における家計貯蓄の蓄積、緩和的な財政金融政策、そして自由主義の追求である。現時点でこの「黄金の20年代」が再来することを予言するのは時期尚早に尽きるだろうが、その成立条件は徐々に明らかなものとなりつつある。

 すなわち、(1)早期の集団免疫獲得、(2)穏健な財政金融政策の継続、そして(3)自由主義の維持・推進だ。バイデン政権の運営方針は、少なくとも現時点で(1)(2)の双方を満たしている。(3)についてはいまだ予断を許さないが、少なくとも国際協調路線への回帰を謳っていることは事実だ。

 これに対し、日本は株式市場こそ米国と同様に活況であるものの、実体経済の「V字回復」に向けたハードルは、米国よりも一段ないしは二段ほど高い状況に置かれているようにも見える。本稿では、今週発表された日本のGDP統計の結果を踏まえつつ、日本経済の展望とV字回復に向けた課題を整理する。

日本の2020年10~12月期GDPは「満点」
コロナ禍前の水準に肉薄

 2020年10~12月期の実質GDP成長率、は前期比+3.0%(前期比年率12.7%)となり、景気の大底を記録した4~6月期から2四半期連続で大幅なV字回復を遂げた。回復の中身を確認しても、内外需のバランスの取れた回復が継続しており、在庫寄与も減少に転じるなど内容も良い。

 2020年を通じての成長率は-4.8%と、2009年以来の低水準となったが、2020年10~12月期に限れば、コロナ禍が本格化する直前の2020年1~3月期と比較して-0.5%と、ほぼ遜色ない水準への回復を実現している。また、2020年の成長率が-3.5%にとどまった米国と比べれば、日本の傷は深いものの、両国の差はおおむね潜在成長率の差に沿うものである。-6.8%のマイナス成長に沈んだユーロ圏との比較で言えば、迅速な財政政策による対応が奏功したという評価も可能だろう。