企業業績2021年3月期の第3四半期を中心とした決算発表では、業績の上方修正が目立った。背景には海外経済の回復と、1月の緊急事態宣言発出後の緩やかな経済活動の抑制がある。上方修正した企業、今後上方修正が期待できる企業の顔触れを抽出した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
「米国や中国など海外経済の回復が業績の上方修正に寄与した」と、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、2021年3月期の第3四半期決算を中心とした今回の企業決算を振り返る。
下図を見てほしい。これはTOPIX(東証株価指数)採用の3月期決算企業(2月17日までに発表した企業が対象)の20年4~6月期、同4~9月期、同4~12月期決算の実績、そして21年3月期の予想を集計し、決算の主要項目についてそれぞれ前年同期との増減率を計算したものだ。どの項目についても、4~6月期から4~12月期までは減少率が縮小している。
企業業績は回復基調にある。2月19日までに決算発表をした2月期、3月期決算企業(決算期を変更した会社を除く)2507社のうち、通期の純利益予想について期初予想を上方修正した企業は463社と、下方修正した企業190社を上回る。
上方修正の要因としては、まず市川氏が指摘する海外経済の回復が挙げられる。その背景には、バイデン新米政権の大型の経済対策をはじめとする主要国の財政出動がある。
そして、それまでの巣ごもり需要に加え、新型コロナウイルスの感染が継続していても人々が行動を大きく抑制しなくなったことも寄与している。11都府県での緊急事態宣言再発出後も、昨年の緊急事態宣言下ほど経済活動が抑制されておらず、飲食業以外はそれほど大きな影響が出ていない。