接待問題の根絶には“日本版FCC”の創設が不可欠

 ところで、この旧郵政省の権限の尋常ではない大きさというのは、行政組織のあり方の観点から見ると、決して当然のことではありません。

 海外を見れば、通信・放送や電波に関する“規制”は独立行政委員会が所管し、“振興”の権限を有する政府組織と分けられている国が多くあります。米国の連邦通信委員会(FCC)がその典型ですが、その他にも英国の情報通信庁(Ofcom)、フランスの視聴覚高等評議会(CSA)、韓国の放送通信委員会(KCC)などがあります。

 つまり、これらの国では、通信・放送や電波に関して一つの組織が同じ屋根の下で“規制”と“振興”の両方の権限を行使できるようにはしていないのです。

 こうした事実を受け、日本でもこれまでに何度か独立行政委員会である“日本版FCC”を創設して通信・放送や電波に関する“規制”の権限を移管し、旧郵政省は“振興”の権限だけを所管するようにすべきという議論がありましたが、いつもこの話は立ち消えになっています。

 しかし、今回のような非常識極まりない接待の実態が明るみになった以上、旧郵政省の強大な権限が接待の誘因となったであろうことを考えると、“日本版FCC”を創設し、そこに“規制”の権限を移管し、旧郵政省は“振興”の権限のみを所管するようにすべきではないでしょうか(それを、経産省の情報関連部門と統合して情報通信庁のような組織とするのもありでしょう)。

 それなしに、単に総務省内で再発防止策を講じるだけでは、情報通信行政への国民の信頼は回復しないと思います。かつ、これこそ、強大な権限とルール違反の接待を通じて形成された既得権益を破壊することにつながります。既得権益の打破を掲げる菅義偉政権が取り組むべき行政改革の課題です。

 ちなみに、今から10年前に東日本大震災と、東京電力福島第1原発の事故が起きました。その後、経産省の下にある資源エネルギー庁が、原子力の“規制”と“振興”の両方の権限を有していたために原発の安全審査が緩くなり、事故の一因になったという反省から、独立行政委員会である原子力規制委員会が環境省の下に設置され、“規制”の権限はそこに移管されました。

 一つの組織が同じ屋根の下で原子力の“規制”と“振興”の権限を所管する体制に終止符が打たれたのです。