容赦ない人員整理の嵐が吹き荒れるのは民間企業だけではない。公務員といっても非正規職員であれば、人ごとではない。コロナ禍の影響で大幅に増員されていたハローワーク相談員は戦々恐々。財政が苦しい地方自治体の事務補助職員しかりだ。特集『1億総リストラ』(全14回)の#2は、非正規公務員の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
「3月末までは求職者の相談に乗り、
4月1日からは自分が失業者」
「今すぐ働ける場所を紹介しろ!」「おまえは安定した公務員だからいいよな」。職業紹介を行うハローワーク相談員は、時に来所した失業者から罵声を浴びせられる。
しかし、彼ら相談員だって厚生労働省の非正規公務員。職への不安を抱えている。
その採用は会計年度(4月~翌年3月)ごとで、公募ではない形での再採用の可能性は2回まで。どれだけパフォーマンスが良くても3年目には自分のポストが自動的に公募にかけられ、求人として公開される。働き続けたければそこに自ら応募し、一般の応募者と競わなければならない。
結果として3年目の公募を経て従来の担当者が再採用されるケースがほとんどのハローワークもあれば、相談員の間で「雇い止めマシン」と恐れられる所長が異動してきて多数が雇い止めになるハローワークもある。
公募に敗れて雇い止めになっても、「その理由は説明されず、『選考結果』の一言だけ」と、ある相談員は話す。「3月末までは求職者の相談に乗り、4月1日からは自分が失業者としてカウンターの向こう側にいる」というブラックジョークのような現実がある。
一部相談員は職場であるハローワークを「公共職業“不”安定所」と自虐的に呼んだりもする。
そんな彼らは今、とりわけ不安を募らせている。というのも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事が増えたためにハローワークの相談員が増員された状態にあるからだ。