「定型文」があれば、
超効率的に「アポどり」ができる
さらに、メールがありがたいのは、「定型文」を作っておけば、大量にアポどりのメールを送信できることです。
もちろん、相手に合わせて、言葉を加えたり、表現を変えるなど、微修正をしますが、一本ずつ電話をするよりも格段に効率的。アプローチするお客様の「母数」を最大化するという目的のためにも、電話よりもメールがいいのは火を見るよりも明らかなのです。
重要なのは、「定型文」そのものを随時修正していくことです。
「どうすれば、お客様からの反応がよりよくなるか?」というアンテナを常に立てながら、徐々に徐々にベストな形を模索していくことが大切です。僕も、最初につくった「定型文」はその形がどんどん変わっていきました。
こういうものは、おそらく「完成形」というものはないのでしょう。むしろ、「これで完璧」などと慢心したときに、成長は止まる。常に「よりよいもの」を求めて改善し続けることが、営業マンとしての「感性」を磨くことにつながるのです。
だから、僕が使っていた「定型文」が完璧だなどとは思っていませんが、僕なりに、留意していたことをいくつか書いておきたいと思います。
まず重要なのは、「面倒臭そう」に見えないことです。
メールを開いた瞬間に、文字がびっしり書き込まれていたら、それだけで「読む気」が失せます。できるだけ改行の多い、短い文章でまとめるように研ぎ澄ませる必要があります。
特に注意が必要なのは、丁寧な文面にしすぎないことです。
お客様に対する礼儀ははっきりと示さなければならないのは当然のことですが、あまりに丁寧にすぎると文章量が増えて「読む気」が失せますし、たとえ読んでくださったとしても、「こっちも、それなりに丁寧に返事しないといけないな……」と思わせてしまい、お客様にストレスを与えてしまう結果を招くでしょう。結局、面倒くさくなって返事を書くのをやめる方もいらっしゃるはずです。
また、お客様に「考えさせる」手間をできるだけかけない配慮が必要です。
そのために、僕は、アポイントを希望する日時をいくつか明記するようにしていました。お客様のご都合に合わせるのが礼儀のように感じられるかもしれませんが、お客様の立場に立てば、むしろ、3つくらいの候補の中から自分に都合がよい日時を選ぶほうが手間がかかりません。
しかも、日程調整の主導権を僕が握ることになりますので、こっちにとっても好都合です。
営業マンは「人と会う」のが仕事ですから、スケジュールはかなり先まで埋まっているはずです。それを、お客様の都合で調整しようとすると確実に混乱します。そのような事態を招かないためにも、日程調整の主導権は営業マンが握っておいたほうがいいのです。
「僕の話を聞いてください」ではなく、
「お話を聞かせてください」にする
そして、僕が最も効果的だと思ったのは、「言葉の方向性」を変えたことです。
当初、僕はアポどりのときは、セールス・スクリプトどおりに、「将来お役に立てる話があるので、ぜひ話を聞いてください」と言っていました。
しかし、「僕の話を聞いてください」という言葉の方向性は、僕からお客様に向かっています。これは押し付けがましいですし、お客様にすれば「どうせ、保険を売りつけようということだな」と感じるだけでしょう。要するに、「売ろう」とする言葉なわけです。
そこで、僕は、「ぜひ、お話を聞かせてください」という表現を使うように徹底しました。
言葉の方向を、お客様から僕に向けるようにしたのです。これだけでも、お客様に与える印象は相当変わります。押し付けがましくなく、謙虚な印象すら持ってもらえるかもしれません。特に目上の方や先輩・年上の方には有効でした。
そもそも、差出人が「プルデンシャル生命保険 金沢」となっている時点で、お客様は「あ、営業メールね」と思われているわけです。にもかかわらず、「ぜひ話を聞いてください」などと書くのは、「売りたいんです!」と“ダメ押し”をしているようなもの。わざわざ、お客様に敬遠されようとしているようなものです。
それに、これは僕の意思表明でもありました。
僕は、もう二度と「売ろうとしない」と心に決めていました。
だから、「お話を聞かせてください」というのは僕の本心だったのです。じっくりとお話を聞かせていただいて、何か僕に役に立てることがあれば力になりたい。その結果、「契約」に繋がればもちろん嬉しいですが、もしも、「契約」には繋がらなくても、お客様との信頼関係を築ければ営業は「成功」。その意思を表明するために、「お話を聞かせてください」という言葉を徹底して使い続けたのです(詳しくは、『超★営業思考』に書いてありますので、ぜひお読みください)。