インカム・ゲイン(家賃収入)と
キャピタル・ゲイン(売却益)をバランスさせる

 先ほどの例は、あくまで理想的な資産累積の将来像ではあるが、ポイントはインカム・ゲイン(家賃収入)とキャピタル・ゲイン(売却益)のバランスにある。

 不動産投資を始める方や既に大家となっている方には、キャピタル・ゲインを考慮しない長期保有志向の方もいると思う。

 長期保有戦略自体はそれでスタイルが確立されているので続ければよいが、我々が目指すハーバード式驚異のリターンをあげるためには、愛しい物件を時には旅立たせ、そして新たな物件を迎えることで、次の次元に行く必要がある。

 僕の場合は、700万円で始めた自己資金が5年間で26倍に拡大することを最初から未来予想図として描いていなければ、こういった指数関数の力を信じることも、そして実現することも難しかった。

 ちなみに当初に描いた僕の投資未来予想図は、5年間での自己資金に対するリターンを30倍に設定していたが、理想通りには行かないものだ。

 さすがに総額何十億円という投資を実行するメガ大家の領域に踏み込むと、次は不動産ファンドやデベロッパーが行うようなプロの投資プレイをする必要がある。

 そのため、いったん個人投資家としては指数関数グラフも頭打ちとなるが、そこまで辿りつける未来予想図(プロフォルマ)を描いておくことは悪くはないだろう。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。