まず、マツダの電動化戦略の第1弾となったのが、同社初のピュアEVとなるMX-30だ。20年9月に欧州で発売されたのを皮切りに、21年にかけて各地で投入される。日本でも、昨年10月からMX-30の発売が始まった。当初はマイルドハイブリッド仕様のみの展開だったが、今年1月にピュアEVの仕様も投入した。

 さらに第2弾として、22年以降レンジエクステンダー仕様に代表されるようなREマルチ電動技術搭載車の投入を予定している。REを発電機とするこの技術は、REと組み合わせるジェネレーター(発電機)とバッテリーのサイズを変動することで、さまざまな使い方を可能にする。ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から、世界各地のエネルギー事情やクルマの使われ方に応じて最適なCO2の削減を可能にする点で、マツダ独自の展開といえる。

 最終的に、30年時点でマツダが生産するすべての車にハイブリッド(HV)とプラグイン・ハイブリッド(PHV)も含めた電動化技術を搭載する予定だ。

 マツダが初の量産EVとなるMX-30をほかの地域に先駆けて欧州で発売したのは、EU(欧州連合)が20年から21年にかけて段階的に強化したCO2規制への対応が必要だったからだ。このCO2規制をクリアできないメーカーには高額なペナルティーが課されることになる。だが、欧州でのMX-30は、マツダの魂動(こどう)デザインによるSUVとピュアEVならではの走りが高く評価され、発売3カ月間で1万台を販売する好スタートを切った。

 筆者も国内での発売に先駆けて、MX-30のピュアEVに試乗する機会を得たが、伝統のマツダ車らしい伸びやかな加速感が特徴的だった。開発責任者の竹内都美子主査は「マツダらしさのあるEVとして、ドライバーに『優しさ』を提供することに力を入れた。また、電池劣化を抑えるシステムを導入し電池マネジメントを効果的に行っているほか、3年後の残価率を55%に設定するなど、中古車価格にも配慮している」と、マツダ電動車コンセプトを強調していた。