経済産業省中小企業庁を外局とする経済産業省のホームページには、4月19日までに約10.7万件の申請を受け付け、7.1万件を実際に給付できたと記載されているが… Photo:PIXTA

4月12日時点で「申請から2週間以内の給付は97%」――。経済産業省がこうアピールする一時支援金だが、筆者自身や周りの事業者は、申請しても一向に給付されず、コールセンターでも無責任な対応をされるばかり。昨年、持続化給付金で批判を受けた「再委託」に似た構図も存在し、中小企業庁が調査を開始した。(ジャーナリスト 横田由美子)

HP表示が2カ月「申請内容確認中」
命綱の60万円「5月末までかかるかも」に憤り

「今の状態では、店をたたむほかないのですが、負債が膨らんで、閉めることもできない。昨年、貯金は全部切り崩したし、政府の支援策も使えるものは全て使いましたが、コロナ禍の終息が一向に見えないので、入金されたお金は瞬間的に溶けてしまいました」――。

 東京都内で、シニア女性を対象に、薄毛対策やカラーリングを主な商品メニューとしている美容院を経営する山崎拓斗さん(仮名)は、うつろな目で話し、こう続けた。

「3月は年度末ですが、一時支援金を初日に申しこんだので、乗り切れると考えていました。『最短4日で振り込み』といううたい文句を信じていました」

 一時支援金とは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた今年1月からの2回目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を受けて売り上げが50%以上減少した個人事業主や中小企業に対し、政府から支給されることになった資金のことだ。支給額は、緊急事態宣言で影響を受けた法人が60万円、個人が30万円。まん延等防止重点措置の影響では法人20万円、個人10万円だ。

 山崎さんは申請以来、毎日、一時支援金のマイページを見ているが「申請内容確認中」から1度も画面表示が変わらない日が、2カ月近く続く。これでは「一時」しのぎにもならない。4月初旬には手持ち資金が足りなくなり、消費者金融で限度額ギリギリまで借り入れを行ったという。

 この間、何度も一時支援基金事務局に電話をしたが、

「審査中と表示されているなら審査中です。個別の審査状況についてはお答えできません」

「ここはあくまでコールセンターで、審査は、委託先のトーマツで行われているので、5月末までかかるかもしれません」

 と突き放した返答のみの電話もあった。挙げ句の果てには、

「申請に不備があったのではないですか?」と、まるで、山崎さん側に非があるかのような言い方までされたと、頬を紅潮させて憤る。

「事務局側から私の不備の連絡なんて1度も来ていないし、そもそも登録確認機関(商工会議所や農協など)から申請しているので、あるわけがない。お客さんが来ないのですから、給付要件は十分すぎるほど満たしている。たった60万円と思われるかもしれませんが、昨年末から毎月綱渡りの状況が続いていて、命綱のようなお金だった。あまりにも非道だ」

 本稿を書いている4月25日現在も、何の音沙汰もないという。