日本企業と米国企業の
決定的な違いとは?

なぜ日本株には連続増配をしている銘柄が少ないのに、米国株には多いのでしょうか?

理由はいくつも考えられますが、根本にあるのは「収益性」の違いです。

日本企業は米国企業と比べて収益性が低すぎるのです。

配当金の源泉になっているのは企業活動で得られた収益ですから、多くの収益が上げられなかったら配当金を増やせません。

私が株式投資を始めた30年ほど前に比べると、日本企業の財務基盤は格段によくなっています。

自己資本比率(貸借対照表で会社の安全性を読みとる指標)も高くなり、総資産回転率(事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標)も米国企業と遜色のないところまでレベルアップしています。

しかし、残念ながら、収益性の低さは30年前から大きく変わっていないのです。

収益性が低いと、絶対的な利益額が小さくなります。

それでは株価も上がりませんから、時価総額(株価×発行済株式数)も小さいまま。

年々成長を続けて大きくなる“米国連続増配株”と比べると、日本企業は相対的にスケールが小さくなっているのです。

日本企業の収益性の低さには、苛烈すぎる市場競争が背景にあると私は見ています。

市場競争が激しく、ライバルに打ち勝つために価格を下げる競争をしてくれると消費者としては大助かりですが、企業の体力を奪い収益性を押し下げます。

市場での適切な競争は不可欠ですが、日本では中小企業を中心として企業の淘汰が進んでおらず、本来ならば潰れてもおかしくないような収益性の低い“ゾンビ企業”が数多く存在しているのが実情です。

これは戦後一貫してとられてきた国の施策によるところが大きいです。

国政を長年担ってきた保守勢力の有力な支持層の1つが、中小企業の担い手だったからでしょう。