努力しなくても売上が立つ店は、羨ましくもなんともない

稲田 ご本の中で、「食堂の商売は三流の立地でもいいから、とにかく始めてみる。その中で、お客様からのお叱りや、自分の気づきをもとに改善していくことで、商売として良くなっていく」といったことをおっしゃっていますね。

宗次 売上は創意工夫でつくりあげるものだ、ってことですね。立地の良さで繁盛させるのではなく。

稲田 立地に関しては、どこかの時点から重視するようになったのですか?

宗次 最初は本当に、感覚的に「ここでいいから」とゴーサインを出してました。それと市場調査は一切、ずっとしたことはないですね。生活用品を販売する小売店ではないですからね。ココイチのカレーは、ココイチでしか食べられないので、来ていただけるのです。立地に関しては、力が徐々に備わるにつれ、いい立地の紹介が自然に増えました。

稲田 そういうことなんですね。

宗次 「郊外に大きなショッピングセンターができるので、その中にココイチさん入ってください」って。当初はもう選んでいられない状態で、どこのチェーンも出店争いしていましたからね。そんな中で好立地ってほとんどなかったですから、必然的につくりあげるしかなかったです。努力の結果、3年後にいい店になる。4~5年後に地域一番になっていく。そのほうが、やっていて楽しいですよね。自分たちでつくっていますから。努力しなくても売上が成り立つような店は、全然羨ましくもなんともないです。

つづく

(文・北野啓太郎)