お互いを補い合う、参謀のような夫婦関係
稲田 奥様と宗次さんは、まさに二人三脚。お話を伺っていると、双方が参謀の関係にあったようにも感じます。お互いの弱い部分を補完する役割として。
宗次 二人三脚経営っていうのは、まさにそうですね。ただ、補い合うっていうか……。300店舗目の頃かな(1994年5月達成)、「よう、ここまで来たなぁ。お互いないものを補ってきたから5分5分だね」と言ったんです。そうしたら「何言ってるの。あんた2割でしょ」って、嫁さんからそう言われて以来、9対1にしています。当たらずとも遠からずって言うかね。本当に嫁さんあってのココイチです。
稲田 ご謙遜にも思えますが、それほど奥様も商売の勘がおありなのですね。あと、銀行との折衝のエピソードも書かれていましたね。
宗次 ええ。もう155億円まで、銀行から融資に関して一度もノーと言われていません。
稲田 それもすごい。
宗次 最初、私が喫茶店の開業資金として500万円の融資の交渉に行ったのですが、これが手間取って。なので、2軒目からは嫁さんが担当。それ以来、すんなり行っています。「言ったことを本当にまじめにやる夫婦だから、もう全面的に応援しますよ」って、岐阜信用金庫の理事長から直接言っていただけました。もう、全部嫁さんのおかげですね。
稲田 銀行がそこまで対応してくれるのは、やはり、前回おっしゃっていた右肩上がりの経営があるからですよね。
宗次 それがなければね。やっぱり成長ですよ、右肩上がり。
稲田 それも、一貫性のある右肩上がりの経営。
宗次 ええ、そうです。言ったことをちゃんと実現する。私は最近、講演会でも「右肩上がり経営で、ほとんどすべてうまくいきます」って話しています。最後の事業承継にしても、適任者がいないときのM&Aにしてもね、もう全部うまくいきますよって。「何が何でも右肩上がりでやりましょう」って。そうなると日常的な欲求を満たすようなことは、もうどうでもよくなります。経営がうまくいくとね。