例えば、毎日1000人に接種し、4週間で1000人×21日=2万1000人接種をしたら、4週間目からは、この2万1000人の2回目の接種を行う。つまり、8週間かけて2万1000人に合計4万2000回の接種をするという方法だ。

 自治体によっては、すでにこうした方法を取り入れているところもある。この方法であれば、1回目の接種をした時に2回目も自動的に予約を入れることができる。同じ会場で、1回目の人と2回目の人が混在しないので、運営する側も管理が楽になる。もちろん、キャンセルなどの対応は別途必要になるが、2回を確実に接種するためには最適な方法である。

 これを大規模センターに当てはめると、最初の4週間で1日当たり1万人×28日=28万人に接種をし、次の4週間で同じ28万人に2回目を接種させることになる。すると8週間で56万回接種をしても28万人しか接種はできない。つまり2カ月間で28万人にしか接種できないのだ。

 残り1カ月(4週間)では、14万人(28万回)分しか接種できないので、3カ月間(12週間=84日)では42万人までしか接種できない。3カ月を90日間で計算しても接種は45万人が上限となり、その数字は高齢者3600万人の1.25%にすぎない。

1日1万人で
センターは混乱の恐れ

 第3の不安要素は、1日1万人もセンターに入れることが可能なのかだ。

 東京センターは、大手町の合同庁舎3号館で、地上15階、地下1階のうち、2~10階を接種フロアにするようだが、一つのビルに毎日1万人のワクチン接種者と数十人~数百人の自衛官らが出入りすることで混乱は起きないのだろうか。

 接種センターは、関係者以外は駐車できないだろうから、多くの人は公共交通機関を使うことになる。開場している時間は、午前8時から午後8時までの12時間、1日1万人なので1時間当たり約833人、付き添いも含めると1時間に1000人程度が、大手町に到着するのだ。地下鉄の出口からセンターまでの大行列ができるだろう。接種後帰宅する人も1時間に1000人程度が駅に向かう。地下鉄の大手町駅は、来る人と帰る人でごった返すのではないだろうか。

 しかも、遠くから出てきた人は、昼食や夕食をセンター近くで済まそうとするのではないか。大手町は、東京駅や銀座に近い。ワクチン接種をしたついでに、百貨店や地下街、銀座などで、食事や買い物をしようとする人もいるだろう。

 人流を抑制するために緊急事態宣言をしているのに、ワクチン接種だからといって、感染者が多い東京都や大阪市にわざわざ人混みを生み出す政策は、本末転倒だろう。