それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#14Photo:PIXTA

マンションが金融商品顔負けの利益を生み出すとあり、投資目的でマンションを購入する人が増えている。株の利益をマンションで運用する人や、湾岸タワマンの転売で一財産築いた人、外国人――。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#14では、実需の売買の場にも絡んでくる令和の「マンション投資家」の投資の実態に迫った。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

大手企業社員の与信を活用してマンション投資を開始
タワマン転売で約8000万円益出しの剛の者も

 IT企業勤務の佐伯昇さん(仮名)。年収は2000万円、株式と投資信託中心に2億円ほどの金融資産を運用していたが、区分マンションへの投資を2023年に開始した。23年に東京都渋谷区の新築マンションを約5000万円で、24年には港区の中古マンションを約7000万円で購入、賃貸運用している。

「会社員の与信を使って投資不動産用の融資が引ける期間が年齢的にあと少ししかない。今物件を取得しておけば、将来的には法人化で事業性融資や物件担保融資も使いながら資産を拡大できる。そして世界的な水準に比べると東京の不動産はまだ安い」と佐伯さんはマンション投資を始めた理由を説明する。

 実需のマンション購入の場に、佐伯さんのような不動産投資家が加わる例が増えてきている。価格の高騰で賃貸運用の利回りは下がっているものの、「マンション投資は融資を使ってレバレッジをかけることができるし、株の信用取引などと異なり金利が上がって不動産価格が大暴落しないかぎりマイナスにはならない、ミドルリスク・ミドルリターン商品だ。株などのボラティリティの高い資産の一部を、ボラの低い実物不動産に切り替えていく」(佐伯さん)という。

 最近の物件価格の高騰をうまく利用した転売で一財産築いた人もいる。湾岸タワマンを2回売却してわずか5年の間に通算8600万円もの利益を手にした間桃子さん(仮名)がそうだ。

 間さんは20年にそれまで保有していた東京・勝どきのタワマンを8400万円で売却した。16年に6000万円で購入したもので、2400万円の利益が出たが、居住用財産の売却益から3000万円を控除できる仕組みを使ったため譲渡所得税はかからなかった。同年、ペアローンを組み、1億600万円で月島のタワマンを購入。しかし購入後離婚することになり、24年にこれを1億6800万円で売却した。6200万円の利益が出たが、夫婦で折半し、それぞれの控除枠3000万円を使い切ってほとんど税金がかからない形で丸々利益が残ったという。

 マンションが投資商品ともなりつつある中、20件以上もマンション運用を行う投資家も現れている。さらに、最近日本市場で存在感を増す、海外投資家の動きについて最大手専門仲介会社の日本法人トップが実態を語ってくれた。次ページから詳しく見ていこう。