
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#17では、石川県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
石川県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
北國銀行、金沢信金が倒産させた企業は何社?
石川県を代表する地方銀行・北國銀行が、大きくかじを切った。3月に就任した米谷治彦社長は生え抜きの法人営業畑で、従来のコンサルティング偏重を是正し、預金・為替・融資という銀行本業への回帰を掲げる。取締役も4人から6人へ増員し、自ら法人先を回って融資ニーズを掘り起こす陣頭指揮に立つ構えだ。
一方、持ち株会社の北國フィナンシャルホールディングス(FHD)は10月1日付で社名をCCIグループに変更する。コミュニケーション、コラボレーション、イノベーションの頭文字を取り、コンサルやITサービスで全国・海外に打って出る戦略を示す。傘下のコンサル会社も同じ文言を冠しており、ブランドを統一する形だ。
FHDが外で稼ぎ、北國銀行が地元を守る。こうした二重ブランド体制が鮮明になったのだ。
石川県では能登半島地震の爪痕が今なお深く、北國銀行も一時16店舗が休業を余儀なくされた。現在は一部店舗で建て替えを進め、融資額が大きい和倉温泉の旅館再建資金など、地元企業の資金需要は今後も膨らむ見通しだ。
こうした地銀の経営判断は、地域企業の命運を左右する。企業を育てるのも銀行、危機に陥った際に命運を握るのも銀行だからだ。特にメインバンクが「支えるか、見放すか」が、倒産か再生かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
2024年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地方銀行、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、石川県の金融機関を取り上げる。北國銀行のほか、金沢信用金庫などの信金も名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の石川県の結果を確認していこう。