
東海地方の中学受験における2025年最大のトピックスである、愛知県立中高一貫校4校の誕生。地域の受験事情だけでなく、学校間の格差にも影響を与えそうだ。その内容とは。特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#21では、東海地方エリアの中学受験動向を読み解いていく。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
愛知県立中高一貫校の誕生で
中学受験者数が再び増加傾向に
東海地方は長らく「公立王国」であり、優秀層はこぞって学区トップの県立高校を目指すのが定石であった。しかし、ここ10年、特にコロナ禍以降は私立の面倒見の良さ、教育の充実に注目が集まり、首都圏と同様、中学受験者数は順調に増加していた。
しかし、前回2024年入試ではその伸び率が急激に鈍化。愛知県では増加幅が前年比プラス4人にとどまり、頭打ちの様相を見せていた。
ところが、直近25年入試において、愛知県では再びプラス678人と大幅に増加した(下図参照)。これは、25年に開校した愛知県立中高一貫校4校の影響に他ならない。
中学受験熱が高まっているとはいえ、愛知県では依然公立信仰が根強い。愛知県内の塾関係者らによれば、中高一貫教育に魅力を感じつつも、まだまだ私立には抵抗がある層も少なくなかったという。
開校した県立中高一貫校は、明和高校附属、刈谷高校附属、半田高校附属、津島高校附属の4校で、高校は地域でも2~3番手の名門校だ。それだけに公立にこだわりのある家庭を中心に、県立中高一貫校は人気を集めると予想されていた。
その気風を反映してか、ふたを開けてみると各校80人の定員に対し、明和と刈谷はそれぞれ志願倍率17.1倍(志願者1364人。普通コースのみ)、10.2倍(志願者818人)と、2桁倍率を記録。この2校は県内の主要都市にあり、アクセスが良好なことも手伝って、半田の4.9倍(志願者395人)、津島の2.1倍(志願者165人)に比べ、予想以上の高倍率になったとみられる。
では、この県立中高一貫校の開校が、私立中高一貫校の入試に与えた影響はいかほどだったのか。次ページでは、25年入試における愛知県内の主な私立中学の入試結果に加え、塾選びの指針となる「主要塾の学校別合格者数データ」を大公開する。