
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、食品業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#9では、食品業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで35人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
一般従業員の年収も高い食品業界
幹部は従業員の何倍もらっている?
食品業界では、ビール会社など大手の待遇は恵まれている。例えば、アサヒグループホールディングス(HD)やサントリー食品インターナショナル、明治ホールディングス(HD)、味の素は平均年収が1000万円を超えている。また、800万~900万円台の企業も多数だ。
さらに、食品業界で1億円以上の年収を受け取る幹部は35人いる。それでは、その35人は、従業員の年収の何倍をもらっているのだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは食品業界だ。
従業員の年収と格差が大きいトップはJTの幹部で、年収6.8億円を受け取り、従業員の74.11倍だった。そして、前述の年収1000万円を超える4社のうち、2社は経営幹部と従業員の格差が大きく、他の2社は格差が小さいという結果となった。
JT、日清食品ホールディングス(HD)、キリンホールディングス、山崎製パン、サントリー食品インターナショナル、アサヒグループHD、東洋水産、伊藤園、STIフードホールディングス、ダイドーグループホールディングス、味の素、カルビー、宝ホールディングス、J-オイルミルズ、キッコーマン、カゴメ、明治HD、江崎グリコ、ヤクルト本社といった企業の幹部たちの年収はいくらで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。