ワクチン接種者の大半が高齢者である。ワクチン接種者の家族の中には「副反応が心配、大手町に不案内、乗り換えがうまくできるか不安」などの思いから、付き添いとして同行する人も出てくるだろう。そうなれば、大手町に集まる人数はさらに増加する。

 あるいは、健康状態などで移動を心配する家族や高齢者が多くなれば、1万人も来場しないかもしれない。それはそれで、混雑しなくてよいが、目標である1日1万回接種は達成できなくなる。

 そもそも、1日1万人のワクチン接種が可能なのかも疑問だ。

 1日(12時間)1万人ということは、1分間で約14人にワクチン接種をすることになる。

 接種前には医師による予診が必須であり、接種後は15分以上の状態観察もしなければならない。自衛隊が運営するので、そうした点は間違いなくできるのだろうが、連日1万人を3カ月間続けるというのはたやすいことではないだろう。

ワクチン接種の
必要人数を確保できるか

 第4の不安要素は、接種に必要な人数を確保できるのかということだ。

 筆者の前回の記事でも指摘したが、厚労省の「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.2版)」の集団接種センターの具体的イメージでは、1会場2列体制で、予診に医師2人、接種に看護師2人、薬液充填・接種補助に看護師2人、接種後の状態観察に看護師1人を想定している。つまり1会場当たり合計で医師2人、看護師5人が必要になる。

 この想定では、1会場1日7時間で280人しか接種できない。