テスラの自動運転オートパイロットは、現在の分類上ではレベル2にあたるので、運転手はハンドルから手を離してはいけないし、テスラ側もその点の注意喚起を促していた。

 ところがこの事故車両の運転席には、誰もいなかった。テスラの自動運転モードでモデルSを走らせていたとの推測が一時は駆け巡ったが、その後、運転席には人が座っていたとの情報も出てきて、現時点では当局の調査結果待ちだ。

 振り返ると、「自動運転は可能だ」と世間に知らしめたのはテスラだった。2015年にテスラの自動運転機能オートパイロットを登場させると、新しいもの好きのユーザーたちがテスラのEV「モデルS」で使う様子を次々と動画サイトで配信し、世間を驚かせていった。

 そして、テスラのオートパイロットは人命を救うこともあった。一方で、死亡事故を起こして、訴訟になっているケースもある。

 だが、イーロン・マスクはぶれることなく自動運転開発を押し進めている。

 ホンダが今年3月に世界に先駆けてレベル3の自動運転車を登場させるなど、世界の自動車メーカーは自動運転開発に本腰を入れている。グーグル傘下のウェイモやアップル、中国の百度などIT大手も参入して競争の激化は明らかだ。

 テスラの自動運転開発は今のやり方でいいのか。そして、他社に勝てるのか。疑問と不満を持つ投資家たちも出てきている。

 そして忘れてならないのは、「テスラの株価は実力以上に評価され過ぎている」と捉える専門家が以前からいることだ。その結果、テスラ株は空売りの対象になりやすかった。

 結局のところ、テスラの株価を上げるのは、やはり“実績”だ。

 テスラは、ギガファクトリーを独ベルリンと米テキサス州に建設中だ。モデル3の次には2万5000ドルのEVを出す計画をイーロンは既に公表している。

 しかし、イーロンの計画はいつも積極的過ぎて、実際には遅れることを世間は既に学んでいる。

 計画がどう進むのか、世界は注目している。