◇ヒアリングでニーズをつくる
景気に左右されず、業績を確実に残していく営業担当者は、ニーズは「あるもの」ではなく「つくるもの」と認識して行動している。
ニーズを「つくる」ために大切なことは、「問題」「影響」をヒアリングする際に、しっかりと聞ききることだ。ここでの目的は、営業担当者が内容を理解することではない。営業担当者に話すことによって、お客様自身に「問題」「影響」に気づいてもらうことだ。
お客様に「問題」「影響」に気づいてもらうにあたっては、「ヒアリングの4ステップ」が役に立つ。ステップ(1)から紹介しよう。
・ステップ(1)状況を確認する
まず、過去または現在について、相手が答えやすい質問をすることから始める。「購入・利用状況」「他社製品・サービス利用の有無」「その会社のサービスを選んだ判断基準」「利用してみての評価」「今後の利用予定」「検討いただく余地の有無」など、ひたすら相手の話を聞く。
・ステップ(2)問題を確認する
ステップ(1)で状況を確認して、ニーズがないように見えても、「もっとこうなったらいいと思う理想」をお客様に考えてもらおう。「10点満点で何点?」「不満があるとしたら?」と聞くと、反応が得られやすい。加えて「どんな状況?」「どうしてそうなっている?」「どのようになればいい?」などと質問を展開し、話を引き出す。
・ステップ(3)リスクを確認する
次に「理想を実現できないとどうなるのか」をお客様に考えてもらう。失礼な質問になりかねないので、クッション言葉を使うといい。「当たり前のことを聞くことをご容赦ください。もし、その問題が解決できないと、どのような状況が想定されるのでしょうか?」などといった表現を使ってみよう。
・ステップ(4)提案の合意を得る
最後に、「問題を解決する方法をお話しできます。もしよろしければ、いかがですか?」とプレゼンへの合意を得る。
ステップ(1)からステップ(4)へと順にコミュニケーションをとっていくと、ニーズを「つくる」ことができるだろう。もし問題を聞くステップで「特に問題はない」と言われてしまった場合は、「サービス面では?」「環境面では?」と対象を絞って質問してみるのも一手だ。