一進一退相場を見据えた投資戦略として
株主還元に積極的な企業の株式に注目
前回の寄稿「日本株のピークが近いと考える3つの理由」で議論したように、(1)景気・企業業績の回復を株式市場がかなりの程度先取りしてしまっている、(2)世界的に金融緩和の効果が弱まり市場のリスク許容度低下が見込まれる、(3)株式市場への資金流入余地が小さくなってきている、との理由から日本株のピークは近く、年後半は一進一退の横ばい圏の推移になると予想している。
このようなレンジ相場を見据えた投資戦略として、今回は企業の株主還元、すなわち配当と自社株買いに注目したい。
実は、過去1一年の日本株市場では配当利回りの高い銘柄のパフォーマンスが思わしくなかった。図表1は、配当利回りの高い銘柄と低い銘柄のパフォーマンス格差を見たものである。
言うまでもなく、高い配当利回りは投資妙味の一つであり、「高配当銘柄=高パフォーマンス」となる傾向が見られるみられる。だが、過去一1年はこの経験則が成り立たず、高配当銘柄のパフォーマンスは大幅に悪化していた。次ページでは、この背景となる2つのポイントや、足元で高配当銘柄や自社株買い銘柄の投資妙味が高まっている理由を解説していく。