教師#9Photo by Masami Usui

教育行政の心臓部は今、どうなっているのか。特集『教師 出世・カネ・絶望』(全15回)の#9では、文部科学省の現事務次官が抜てきされた内実から、次期候補者の人物評に至るまで、前川喜平・元文部科学事務次官が子細にそして赤裸々に語る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

現事務次官はさすがに交代
そもそも次官になるはずではなかった

――文部科学事務次官の藤原誠氏は在任2年半を超え、長期政権になっています。この夏に交代になるとみていますか。

 彼は前・安倍晋三政権、現・菅義偉政権で官邸にものすごく気に入られていますが、さすがに交代しないとおかしい。そもそも彼は事務次官になるはずではなかったんですよ。

――2017年の文科省の違法天下りあっせん問題で前川さんは引責辞任し、初等中等教育局長だった藤原氏は減給処分を受けて降格しました。大臣官房長に逆戻りしてからの返り咲きですが、初等中等教育局長の要職も経験しており、少なくとも処分前までは次官候補の一人だったのでは?

 確かに次官には大臣官房長経験者が多い。加えて旧文部省出身者は初等中等教育局長か高等教育局長を経験していることが多い。

 彼が減給処分を受けたのは17年3月でした。減給処分を受けると1年半は昇任できないという人事院のルールがある。しかし彼は18年3月には60歳の局長級定年を迎えることになっていた。だから処分を受けた時点で、次官になる道は断たれたはずでした。

――でも実際には、18年10月に次官へ昇格しています。藤原氏でなければ、誰がなっていたんですか。なぜ状況は覆ったのですか。