年収1000万円の大不幸#13
Photo:123RF

コロナ禍で年収カットの憂き目に遭う可能性もある中、教育費は子どもが学校を卒業するまでコンスタントにかかり続ける。教育費が家計を圧迫し、ローン地獄に陥れば自分の老後にも響いてくる。ましてや子どもに多額の奨学金を背負わせるのは忍びない。特集『年収1000万円の大不幸』(全13回)の最終回では、年収1000万円世帯が教育費によって生活をつぶされないための防衛術や、高年収でも使える奨学金制度を紹介する。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

親の援助、引っ越し…
教育費を抑えるテクニック

 節約家で40代の平田桂子さん(仮名)は、子どもができるとすぐに東京都千代田区に引っ越した。家賃は高いが、「千代田区」にこだわったのは、公立の中高一貫校である千代田区立九段中等教育学校に進学させるためだ。

 九段中等教育学校の場合、入試枠が千代田区内在住者と区外の都内在住者に分かれている。区外在住者の場合、競争率は男子で約6倍、女子で約7倍と高いが、区内在住者ならば約2倍と大きく下がる。仮に不合格でも、公立の名門、麹町中学校の学区内に住んでいれば問題ない。平田さんは住居費に投資して、教育費を抑えたというわけだ。

 将来を考えれば、できるだけ難関校に子どもを進学させたいと考える親は多い。しかし、年収1000万円では子どもの卒業までに、教育費を巡る激しい葛藤があることは本特集の#11『年収1000万世帯がハマる「教育費地獄」、中学受験・資金繰り試算の悲哀』で説明した。

 年収が低い場合は、高校無償化の恩恵を受けられる。加えて、支給に所得制限のある奨学金も増えている。年収1000万円という中途半端な年収帯だからこそ、教育費の投資先に頭を使わなければならないのである。

 ファイナンシャルプランナーの藤川太氏いわく、教育費によって家計が破綻しないケースは二つあるという。

 まず一つが、平田さんのように、教育の質を考えて住む場所を選ぶやり方だ。

 千代田区を選ぶのは極端だが、例えば都心ではなく埼玉県や千葉県の教育熱心な地区を選ぶという手がある。そうした地区には公立の進学校も多い。

 都心から離れることは、学費以外のコスト削減にもつながる。夫が大手メーカーに勤める30代の野月美咲さん(仮名)は、都心のセレブが住む街から埼玉県所沢市に引っ越した。「これまで住んでいた場所は、誰もが外車に乗り、エルメスのバッグを持って歩くような場所だった。でも所沢に来たら、外車とエルメスではかえってうわさになってしまい、全部手放した。物価も安いし、持ち物も安上がりになりましたよ」(野月さん)という。

 コロナ禍によりリモートワークが増加したことで、オフィスから離れた場所への引っ越しを検討している人もいるかもしれない。ただ、藤川氏は「あまりにも都心から離れた地域に住むと、コロナ禍が終息した後リモートワークがなくなったときに困るので、慎重に」とアドバイスする。

 教育費による家計の破綻を避けられるもう一つのケースは、祖父母からの資金援助がある場合だ。

 祖父母がある程度資産を持っている場合、「教育費」の名目で贈与すると一定額まで非課税となる特例がある。入学など必要なときにその都度お金をもらう場合は非課税だが、まとめてもらう場合は教育資金の一括贈与の特例を使うといいだろう。

 この特例を使うと、親や祖父母が、30歳未満の子や孫、ひ孫1人につき1500万円まで贈与税が非課税となる。ただし、この制度は2021年度に適用条件が厳格化される公算が大きいので、急ぐ必要がありそうだ。

Illustration by Yuuki Nara

成績上位が目指せる学校を選び
特待生を狙う

 ただ、引っ越しができず、祖父母からの援助も見込めない人も多いだろう。それでも、子どもに少しでも良い教育を受けさせたいというのが親心だ。

 ない袖は振れない。ただ、突破口の一つになるのが「特待生制度」だ。