企業も当事者も個性を大切にしていくことが肝要

 パーソルチャレンジ・代表取締役の井上雅博氏は、高知四万十オフィスの開所について、次のように語っている。

「首都圏と比べ、地方では障がい者の就労選択肢が限られているという状況があります。ここ高知四万十オフィスでの取り組みをきっかけに、全国で多様な障がい者の雇用を実現していきたいと思っております。そのために、地域の皆様のご協力を賜りながら、雇用への取り組みが当社の活動だけでなく地域にも貢献できるよう運営してまいります」(パーソルチャレンジ株式会社 NEWS RELEASEより一部引用)

 民間企業の障がい者法定雇用率は今年2021年3月から2.3%に引き上げられた。しかし、法定雇用率を達成している企業は全体の48.6%という数字のとおり*2、多くの企業が障がい者の雇用を意識しながらも、その実現に苦心していることが分かる。雇用する企業と被雇用側となる障がいのある人たち…その、双方それぞれに必要な姿勢はどのようなものだろう。 

*2 厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」より

野原 それぞれの障がいによる特性や配慮事項はありますが、雇用側の企業においてはそれを「個性」として捉えてほしいと考えています。そして、一人ひとりの個性に応じての仕事や役割を考えることで発揮できる価値がたくさん出てくるはずです。「個性」として捉えてほしい姿勢は、雇用される側となる障がいのある方自身においても同様で、ご自身の特性を理解したうえで、少しずつで構わないので成長していく姿勢、また、成長したことを実感できる気持ちを大切にしてほしいと思います。

※本稿は、現在発売中のインクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」からの転載記事「ダイバーシティ」が導く、誰もが働きやすく、誰もが活躍できる社会」に連動する、「オリイジン」オリジナル記事です。