デジタル化と人海戦術の
二極化が進む旅行業界

 旅行業界はすでにデジタル化が進み、飛行機や宿の予約を多くの人はネットで行うのが常識になっています。その価格を比較するウェブサイトも、もはや一般的になっています。販売側にとってもしかり。

 ビジネスホテルではチェックインとチェックアウトは機械だけという施設も増えていますが、部屋の快適さや利便性に遜色はありません。いまや問い合わせはAI(人工知能)のチャットボットで返せますし、施設でも深夜のサービスはなくしてセキュリティーだけにしているところも多くなっているのです。

 その一方、旅行代理店の店頭には多くのパンフレットが並び、手間のかかる手配旅行を、旅行会社のスタッフが丁寧に時間をかけてやってくれています。確かに単純な往復やパック旅行ならともかく、複数の海外都市を好みに合わせてカスタマイズしたいようなときに、店頭のサービスは本当に便利です。

 代理店は顧客ができないことを代理でやってくれますから、その役割の対価としての収入が大きくて当然なのですが、残念なことに実際の収益構造はそうはなってはいません。部屋の値付け、原価計算、稼働率、問い合わせなどは、人海戦術でやっているのが現状ではないでしょうか。

 観光地で多く見られる入場券もしかり。入場券の販売、そして回収は人手がかかってデータ化できません。今後は事前予約や当日の購入も、スマホでのQRコード決済にさらにシフトしていくことでしょう。