初心者は日米の連動型投資信託で

 例えば3銘柄の株式を保有していたとしても、3銘柄とも輸出企業であれば、ひとつが値下がりするときには他も値下がりする可能性が高いので、分散投資の意味が乏しい。株式を3銘柄保有するならば、円安で儲かる企業、円高で儲かる企業、為替レートの影響を受けない企業の株をそれぞれ持つ、といった工夫が必要であろう。

 もっとも、さまざまな株式を持っていても、安心とはいえない。最近は「日経平均連動型投資信託」などの取引が増えているので、日本株が上がるときには多くの日本株が一斉に値上がりし、下がるときには一斉に値下がりする場合も多いからだ

 そうであれば、個別の日本株を買う代わりに日経平均連動型投資信託を購入する方が効率的かもしれない。

 外貨も、ドルを持つより米国株連動型投資信託(為替ヘッジなし)を買う方が効率的で、かつ米国のインフレにも備えることができるかもしれない。

 結果としては、預金、日経平均連動型投資信託、米国株連動投資信託の3種類の資産に分散投資する、というのが初心者には便利で良いだろう。そうすれば、日本がインフレになってもならなくても、米国がインフレになってもならなくても、老後資金の一部は少なくとも目減りせずに生き残るからである。

「株や外貨は値下がりのリスクがあるから持ちたくない」という人が多いが、預金がインフレに弱いリスク資産であることを考えれば、老後資金の全額を預金で持つことは危険だ。それをしっかり認識して、分散投資を前向きに検討してみてはいかがであろうか。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係がない。また、当然であるが投資は自己責任でお願いしたい。