インデックスファンドへの投資では、マーケットを出し抜こうとしているわけではありません。従来型のアクティブな運用をしたり、個別銘柄に賭けているわけでもありません。幅広い分散と売買の抑制を重視した、受け身の投資アプローチと言えるものです。

 できるだけリスクを抑えながら、あなたの目標――短期と長期――に沿った十分なリターンを目指すのです。だからこそ、手数料が安く、幅広い分散が可能なインデックスファンドは、FIerが実践すべき投資としてうってつけの商品です。

 債券とは違って、株式インデックスファンドはマーケットの動きに合わせて上下に変動します。ミレニアル世代のFIREファンは、ベビーブーマーが銀行を利用するような感覚で株式インデックスファンドを利用します。手持ちの現金を少なくし、資金の大半を株式ファンドに投資します。

 バブルの発生と崩壊を経験した人たちは、株式市場の金融商品を銀行預金のように扱うという発想に違和感を覚えるかもしれませんが、上がり続けるマーケットしか目にしたことがない若い人々には、インデックスファンドに投資しないことのほうがむしろ愚かに見えます。投資によるアップサイドや401kなどに付随する税優遇のほうに目が向くのです。

 ただ過去90年の間に、株式市場は5度の暴落(32.86%の下落)を経験しました。下落後の回復期間は4.27年に及びます。非難を覚悟で、以下に具体的なデータの一部を紹介しておきます。

 ・世界恐慌:86%暴落し、回復に27年かかりました。
 ・1970年代半ば:46%暴落し、回復におよそ10年かかりました。
 ・1987年後半:ほんの3ヵ月で32%下落し、回復に4年かかりました。
 ・世界同時不況(2007~2009年):50%下落し、回復に6年かかりました。

 2000年前後のITバブルの崩壊と2007~2009年の金融危機の際には、株式市場の回復に10年もかかりませんでしたが、マーケットの循環的な性質がなくなったというわけではありません。

 一方、債券ファンドのボラティリティは低く、下落相場でもせいぜい数ポイント下落するくらいです。

インデックスファンドの哲学

 ボーグルヘッズ(ジョン・ボーグルの信者たち)は自分たちがリスクを管理しながら、平均的な投資家――その多くは売買のタイミングを計ったり、次のホットなIT銘柄で一発当てようともくろんでいます――よりも高いリターンを得られると信じています。

 彼らの投資哲学を端的に表すと、手数料の安いインデックスファンドで分散投資し、長期間持ち続けるというものです。

 どのようにして手数料を安く抑えているのでしょうか?