ほとんどの時間を仕事に費やし、稼いだお金を散財する――そんなアメリカ人のライフスタイルを変えた1冊がある。全米の若者にFIRE(Financial Independence, Retire Early)ムーブメントを引き起こした『お金か人生か』(ヴィッキー・ロビン+ジョー・ドミンゲス 著/岩本正明 訳)の日本版がついに刊行された。本書の初版が出版されたのは1992年で、原書はこれまでに100万部以上を売り上げた大ベストセラー。ミレニアル世代からの人気を受けて、2度目の改訂版が出版された。FIREムーブメントのバイブルだ。社会派ブロガーのちきりん氏は「やみくもに稼ぐだけが正解じゃない。超合理的なアーリーリタイアへの道標」と同書を評する。日本でもFIREが認知されてきたが、まだその根底にある考え方は知られていない。同書を読むことで「本当の経済的自由は何か」がわかるとともに、「お金に縛られない生き方」を実践できるようになっている。今回の日本語版刊行を記念して、内容の一部を公開しよう。
私たちの行動は
何を示唆しているのか?
私たちのお金に関する考え方の一部が、地球平面説と同じように、もはや現実に則していないという可能性はありませんか?
その考え方は、本当に正しいのでしょうか? 私たちのお金の使い方は、その一部が迷信であることを物語っていませんか? 子どものころに使ったベッドの下には怪物がいるという迷信から卒業したように、私たちはお金にまつわる迷信からも卒業する覚悟があるのでしょうか?
例えば、私たちは表向きはお金では幸福を買えず、人生で最良のものにはお金がかからないことなどわかっていると言い張るものの、自分の実際の行動にきちんと目を凝らしてみてください。まったく言行が一致していません。
気分が落ち込んでいるとき、孤独なとき、愛されていると感じられないとき、私たちはどういった行動を取りますか?
多くの場合、気分を盛り上げるために買い物をします。新しい服、お酒、新車、アイスクリーム、ハワイ旅行、観賞用の魚、映画のチケット、甘いもの。
幸運を祝福したいときも、何かを買います。全員分のお酒、食事付きの結婚式、バラの花束、ダイヤの指輪。
退屈したときも、何かを買います。雑誌、クルーズ船、携帯アプリ、馬券。
人生にはもっとほかに何かあるに違いないと考えたときも、何かを買います。ワークショップ、自己啓発書、別荘、都内のマンション。