ほとんどの時間を仕事に費やし、稼いだお金を散財する――そんなアメリカ人のライフスタイルを変えた1冊がある。全米の若者にFIRE(Financial Independence, Retire Early)ムーブメントを引き起こした『お金か人生か』(ヴィッキー・ロビン+ジョー・ドミンゲス 著/岩本正明 訳)の日本版がついに刊行された。本書の初版が出版されたのは1992年で、原書はこれまでに100万部以上を売り上げた大ベストセラー。ミレニアル世代からの人気を受けて、2度目の改訂版が出版された。FIREムーブメントのバイブルだ。社会派ブロガーのちきりん氏は「やみくもに稼ぐだけが正解じゃない。超合理的なアーリーリタイアへの道標」と同書を評する。日本でもFIREが認知されてきたが、まだその根底にある考え方は知られていない。同書を読むことで「本当の経済的自由は何か」がわかるとともに、「お金に縛られない生き方」を実践できるようになっている。今回の日本語版刊行を記念して、内容の一部を公開しよう。

FIREに欠かせないインデクスファンドとは?Photo: Adobe Stock

手数料の安いインデックスファンド
FIRE実践者のプラン

 大多数のFIREブロガーは、インデックスファンドへの投資を推奨しています。

 運用会社バンガードを1975年に創設したジョン・ボーグルは、手数料を抑えることで投資家に利益をもたらすという革新的なアイデアを思いつき、投資を誰もが利用できるシンプルなものに変えました。販売手数料をなくし、運用管理費用を最小限に抑えることで、普通の人でも投資の世界に足を踏み入れられるようにし、フィデリティやシュワブなどほかの運用会社にも新たな可能性を提供したのです。

 とくに収入の面で「十分」の水準を理解しているFIer(経済的自立に到達した人)にとっては、インデックスファンドは債券を除くと最も「買ったら後は放置」を実践できる投資資産です。

 伝説的な投資家であるウォーレン・バフェットも、「コストの安いインデックスファンドは大多数の投資家にとって最も賢明な株式投資のやり方です。例えば、定期的にインデックスファンドに投資するだけで、何も知らない投資家が投資のプロの大多数を出し抜くことができます」との持論を展開しています。

 インデックスファンドとは、パフォーマンスを株式市場の指数(ダウ平均、NASDAQ、S&P500など)や債券市場の指数と連動させる投資信託、もしくはETFのことです。