SNS活用と人物本位の採用スタイルで
応募者が35倍に急増

 土屋鞄製造所は昨年、新卒採用に初めてSNSを活用した。その結果、志望者が前年の57人から2000人へと急増した経緯がある。約35倍の伸びだ。以前は関東圏の学生の応募が大半だったが、圏外が7割を占めるようになり、海外からの応募もあった。こういうステップを経て、ESを廃止、人物重視の新卒採用に切り換えたのである。

 内定後のケアも手厚い。内定した学生には、メールに加えてLINEでも相談できる体制を整えている。入社に対する不安、業務上の質問など、何でも気軽に聞くことができる。さらに内定者一人ひとりに人事担当者が手書きのメッセージまで贈っているのだ。

就活で「エントリーシート廃止」に踏み切る企業が増えているワケすべての内定者に社員が手書きのメッセージを贈り、入社を祝う

「弊社はもともとランドセルメーカーからスタートしましたが、大手メーカーと違い、一つずつ手作業で仕上げています。時間も労力もかかります。そのランドセルを購入いただくのは一生に一度です。内定も同じだと思います。人生に何度もある出来事ではありません。そういった大事な節目に思い出として覚えていてほしいと考え、あえてアナログな手書きメッセージを贈っています。受け取った内定者の中には、泣いて喜んでくれる方もいます」

 新卒採用が大きく変わろうとする今、人物本位を重視する同社の採用方法は、これからのヒントになるかもしれない。

(吉田由紀子/5時から作家塾®)