続・パナソニックの呪縛#2Photo by Toshiaki Usami

パナソニックOBが主導する乗っ取り計画の標的となったNCホールディングス。社長以下、同社幹部はパナソニックOBらの手口と薄っぺらい事業計画に怒り心頭だ。特集『続・パナソニックの呪縛』の#3では、一連の戦いの経緯について、梶原浩規・NCホールディングス社長に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

3月末に突き付けられた社長更迭
背後にある「パナソニックOBの策謀」

――TCSホールディングス(TCS)はNCホールディングス(NC)に対して、パナソニックOBで旧AVCネットワークス社の上席副社長などを歴任した高木俊幸氏を社長にする株主提案を提出しています。NCの大株主であるTCSを通した、パナソニックOBによる“乗っ取り”計画だといわれていますが、どのように捉えていますか。

 私が社長を辞めるように言われたのは3月末。TCSの高山芳之社長から直接言われました。後任は(NCの)社外取締役である高木氏だと。唐突な話でした。

 高木氏は2020年6月から当社の社外取締役になっていますが、1月ごろ、ご本人がNCの事業会社である日本コンベヤにパナソニックで成功してきた「事業部制」や「マトリックス経営」を導入したらどうかと提言を頂いていました。

 3月末に高山社長から社長交代を告げられた後、高木さんたちの今後の経営方針などの考えを聞いてみると、やはり事業部制を入れていくのだと言っていました。

 でも日本コンベヤはパナソニックのような大企業ではないので、(権限委譲を進める)事業部制に耐えられる組織ではありません。そうした点について意見交換する中で、彼らはTCSの取締役で、パナソニックの元副社長である坂本俊弘氏と連携して、事業部制の導入で生まれるポストに、パナソニックOBを就かせる考えがあることが分かってきました。

 ちょうどその頃、パナソニックではリストラが行われるという話も聞こえてきたのです(パナソニックのリストラについては特集『パナソニックの呪縛』の『パナソニック「割増退職金4000万円」の壮絶リストラ、年齢別加算金リスト判明【スクープ完全版】』参照)。