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パナソニックのテレビ事業がようやく黒字化を達成した。だが、油断することはできない。他社に比べて周回遅れとなってきたテレビ事業改革には、主に三つの課題がある。特集『続・パナソニックの呪縛』の#4では、その問題点を検証する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
工場集約と開発機種の削減で「悲願」達成
新体制で待ち受ける厳しい独立採算
「もう赤字になることはない」――。あるパナソニック幹部がそう自信をのぞかせるのは、長らく赤字に沈んできたテレビ事業だ。
パナソニックにとって、テレビ事業の黒字化は悲願ともいえるものだ。2021年3月期に、実に3期ぶりに赤字から脱出した。
ここまでの道のりは平たんではなかった。開発機種数を大幅に削減したり、工場の集約を加速させたりすることで、コスト削減に結び付けることができた。
インド、ベトナムでのテレビ生産を終了したほか、国内テレビ事業の象徴だった宇都宮工場での生産も終息させた。その結果、残る工場はマーレシア、チェコを中心に4拠点のみとなる(テレビを含む家電改革の詳細については、特集『パナソニックの呪縛』の『パナソニック家電部門が「盟友ヤマダ電機」の方針転換を機に反撃へ、包囲網突破の勝算』参照)。
確かに、工場集約などによる固定費の削減効果は大きい。だが、これでテレビ事業が安泰かといえばそうではない。実際に、パナソニックが10月に予定している組織改編では、テレビを中心とする黒物家電事業は家電会社(アプライアンス社)からスピンアウトし、持ち株会社直轄の独立採算経営を迫られることになっている。
では、パナソニックのテレビ事業の課題とは何なのか。主に三つの壁がある。
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