対策を積み重ねて
高齢化問題に立ち向かう

 このように、高齢の居住者にまつわる問題は複雑で対応が難しいものだということがおわかりいただけたと思う。居住者の高齢化が重大な問題とならないために、管理組合としてもできる限り対策を講じておくことが大切だ。

 たとえば、次のような対策が考えられる。

 1.管理組合(管理会社)は、居住者だけでなく、法定相続人なども含めた親族の緊急連絡先を正しく把握し、その情報を3~5年おきに更新する。

 2.高経年マンションでは高齢者のケアを目的として、高齢者同士や若い世代とのコミュニケーションを目的とした組織を作る(そのための費用を予算化するとよい)。

 3.管理費・修繕積立金の滞納問題が発生した場合は、先延ばしにせず、傷が浅いうちに早急に回収する。「払う」「払わない」という話は誰も幸せにならないと心得ておくべき。

 4.特に高齢者は経済状況に応じて生活レベルを見直すことが大切なので、理事会や周囲が言いにくいことも進言するべき。

 5.滞納問題も含め、孤独死などの場面を想定して規約をしっかりと作り込み、いざ発生した場合、機械的に処理できるようにしておく。

 6.いざというときに相談できる弁護士や司法書士を見つけておく。できれば顧問のマンション管理士などがいると心強い。

 どの対策も高齢化問題を劇的に解消できるというものではないが、大切なのは日頃から問題の存在を意識し、できる対策を積み重ねていくことだ。

 子育て世代が多く居住するような新築や築浅のマンションの場合、高齢化問題は遠い未来の話のように思われるかもしれないが、20年後には多くのマンションが確実に高齢化問題に直面することになるだろう。築年数や規模にかかわらず、どんなマンションでも「転ばぬ先のつえ」として、今から対策を施しておくことをお勧めしたい。