利用者の「線引き」はそれぞれの団体の考え方次第
「子育て応援フードパントリー」は、ひとり親家庭の生活困窮者を対象にしているが、利用できる人とそうでない人の線引きが難しいのではないか?
大山 埼玉フードパントリーネットワークの「子育て応援フードパントリー」はひとり親家庭を対象にしていますが、全国のフードパントリーには、さまざまな生活困窮者を支援しているものもあります。「生活困窮者自立支援法*15 」という法律では生活困窮層の数値における線引き(カテゴライズ)はなく、ひきこもりや若年失業者を含め、生活困窮者は幅広く困っている人と定義されています*16 。埼玉フードパントリーネットワークのパンフレットにおいても「(利用者は)ひとり親家庭等」としています。
*15 生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うための所要の措置を講じている。2015年(平成27年)4月施行。(PDF 厚生労働省「生活困窮者自立支援法について」より)
*16 「生活困窮者自立支援法」における「生活困窮者」とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。(H25.12.10 新たな生活困窮者自立支援制度に関する説明会 参考資料より)
「子育て応援フードパントリー」では、原則として、児童扶養手当*17 の受給者証、あるいは、ひとり親家庭等医療費助成制度*18 の医療証がフードパントリー利用のために必要となります。もちろん、利用者の例外をケースバイケースで認めているフードパントリーは多く、(ひとり親家庭でなくても)生活保護を受けていれば、その受給証や相談窓口利用の何らかの証明があれば参加できたり、弁護士さんがメンバーになって主催しているフードパントリーでは、その弁護士さんが相談相手に声をかけたりしていますね。フードパントリーは行政主導の事業ではないので、厳正厳密なルールの下に運営されているわけではありません。ですから、「線引き」は、それぞれの団体の考え方次第です。開催案内の手段としては、たとえば、「子育て応援フードパントリー」では、市の協力で児童扶養手当の現況届に合わせて案内チラシが配られている例もあります。
*17 「児童扶養手当は、離婚による母子世帯等、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活を安定させるとともに自立を促し、児童の福祉の増進を図ることを目的として、その母又は養育者に対して支給されるものである。」(厚生労働省「平成19年度 母子家庭の母の就業支援施策の実施状況 第4章 自立を促進するための経済的支援策等」より)
*18 ひとり親家庭等医療費助成制度は、ひとり親家庭等に該当すると認定された世帯の保護者と児童が病院や診療所で診療を受けたときに、健康保険の自己負担分を市が助成する制度。認定されると「医療証」が発行され、「医療証」を病院等の窓口で提示することで助成を受けることができる。(引用元 国立市ホームページ「ひとり親家庭等の医療費助成制度」)