韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える自尊感情回復レッスン』というタイトルの本だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「ゆううつ感に悩んでいる」など、人々が抱える悩みのほとんどは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。
本書の日本版が、ついに7月13日に刊行となる。その刊行を記念して、本書の一部を特別に紹介する。今回は、「家庭で自尊感情を落とし、不倫に走ってしまう人の心理」について紹介していこう。

家庭に居場所がない夫が、職場で不倫に走る納得の理由Photo: Adobe Stock

浮気する人ほど、自尊感情が低い

 自分は家族や配偶者にとって必要のない存在だと考えると、自尊感情が揺らぎます。会社では頼りにされているのに、家ではまったく認められていないといったケースです。

 こんなとき、会社に自分を応援してくれる異性がいたらどうでしょうか?「課長はこんな不利な状況でもしっかり結果を出せてすごいです!」「いつも尊敬しています。いろいろ教えてください」なんて言ってもらえたら、誰でも気分が良くなり、安心できるでしょう。存在価値を認めてもらえ、自尊感情も満たされるからです。

 会社での特別に親密な異性を“オフィスワイフ”や“オフィスハズバンド”といいますが、そんな存在がいる人たちは口をそろえてこう言います。「配偶者に認めてもらえない自分のことを、あの人は認めてくれる」と。配偶者からワーカホリックだと愛想をつかされているとき、自分のエゴを持ち上げてくれるのです。

 実際、浮気している人たちと対話すると、おしなべて自尊感情が低いです。浮気心が抑えきれないとか、性欲に負けたという理由ではなく、ただ誰かに認められたいという本能が、本人も気づかないうちにその一線を越えさせてしまいます。身内に認めてもらえない自分の価値を、家の外で見つけてもらえたからです。

 だからといって、不倫に賛成しているわけではありません。どんな理由であれ、不倫は認められません。不倫を通じて自尊感情を回復しようとすること自体、悲しい話です。

(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)

ユン・ホンギュン
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。