消える郵便局はどこだ
「過剰」自治体ランキングを発表!
『週刊ダイヤモンド編集部』7月31日号の第1特集は「郵政消滅 郵便局国有化 ゆうちょ・かんぽ解散!」です。
創業150年の節目を迎えた日本郵政が、未曽有の危機に瀕しています。
業績はジリ貧です。郵便、銀行、保険の郵政3事業は、どれも郵便物数の減少と低金利政策により長期低落傾向に歯止めがかかりません。
とりわけ、傘下の日本郵便の苦境は際立っています。年賀はがきと信書などドル箱収入の激減に加えて、不祥事による営業自粛で窓口手数料収入も減少。2022年3月期の日本郵便の当期純利益は200億円まで落ち込む見通しです。
頼みの綱である「第四の事業」の創出にも高い壁が立ちはだかっています。
海外物流参入の足がかりにしようと巨費を投じた豪物流トール・ホールディングスの買収で大失敗。今年3月の楽天グループとの提携も、内実は日本郵政による“官制”救済です。協業分野が物流や携帯電話、金融など多岐にわたる割には、1500億円を拠出した日本郵政にビジネス上の旨みが見当たりません。
日本郵政には「5つ病根」が宿しています。(1)まっとうな経営者の不在、(2)郵政3事業のジリ貧、(3)既得権益の温床、(4)余剰人員あふれる40万人組織、(5)株主監視の不徹底がそうです。
とりわけ、(1)に関連する経営人材の枯渇は深刻です。経営の混乱は40万人組織の「現場」へ波及し、社員のモラルが著しく低下。全国の郵便局社員による不祥事が多発する事態に陥っています。特集では、大きな図解で日本郵政が統治不全に陥ったメカニズムについて解説しました。
経営の混乱に乗じて、“守旧派”である全国特定郵便局長会(全特。旧全国特定郵便局長会)のパワーが増してきています。「全特の告発座談会」企画では、現役の郵便局長が経営陣や政治に向けた本音をぶちまけています。
また、ダイヤモンド編集部の独自企画として、農協と郵便局2万4000局を「5つの指標」で徹底比較しました。“消える郵便局”候補を炙り出す「郵便局が過剰な自治体ランキング50」も掲載しました。
かつて地域住民に「郵便さん」と愛された郵便局員の姿は、風前の灯です。郵便局といえば、どの公的機関の出張所よりも地域の信頼を集めていたはず。その姿は見る影もありません。
中途半端な郵政民営化や経営の怠慢は、郵便局のサービス劣化や地方切り捨てという「大きなツケ」となって国民に跳ね返ってきているのです。
郵便局を存続させるのか、消滅させるのか。日本郵政の存在意義を問い直すべき時がやってきました。