21世紀型頭痛が増加中、青魚を食べて改善をPhoto:PIXTA

 ストレス、睡眠不足に不健康な食習慣、加えてデジタル過剰がもたらす姿勢の悪さと、現代人の生活様式は頭痛リスクが満載だ。ついに「21世紀型頭痛」という名も生まれた。

 症状はズキンズキンと「脈が打つような」痛みが数時間~72時間ほど持続し、ときに吐き気や臭覚・視覚過敏を伴う「片頭痛」や、頭の周りと後頭部~首にかけて締め付けられるような痛みが生じる「緊張型頭痛」などで、今の生活様式で育った10代から50歳未満で患者が増加している。

 ちなみに「片」頭痛は、名称に反して症例の4割は頭の両側が痛む。学童期は両側性が多い。

 21世紀型頭痛が厄介なのは、リスクを手放しにくい点だ。スマートフォン、パソコンしかりで、リモートワークが推奨される「ウィズコロナ」ではなおさら頭痛と共存せざるを得ない。

 認知機能や集中力の低下を伴うため、欧州で行われた調査でも、頭痛患者のおよそ半数が、発作時や事前の不安感による生産性の低下を経験している。

 デジタルデトックスが難しい場合は、米国立老化研究所が行った「身体に良い油」の試験の成果を試してみよう。

 本試験は、1日平均5時間以上、月平均16日間以上というつらい片頭痛に苦しむ成人182人(平均年齢38.3歳、女性88%)が対象。

 参加者は(1)魚油に含まれるEPAとDHA+植物油に含まれるリノール酸多めの食事、(2)魚油は(1)と同じで、リノール酸を減らした食事、(3)魚が少なくリノール酸と脂肪過多(つまり揚げ物)の典型食の三つに割り振られ、それぞれの食事キットを利用して16週間の食事療法を続けてもらった。

 その結果、(2)の魚油多め植物油少なめの食事は、典型食と比較し、1日あたりの総頭痛時間と特にひどい頭痛時間を減らし、1カ月あたりの頭痛日数を30~40%低下させたのである。16週間では生活の質の改善までには至らなかったが、意識的に長く続ければ、また違う結果も出るだろう。

 さて、EPAとDHAが豊富な青魚の鰺は今が旬。下処理が面倒なときは缶詰を利用しよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)