人は、嫌いなものや人について話すときほど饒舌になるし、歯止めがきかなくなるものだ。だからこそ、「嫌い」はオブラートに包み、ユーモアある表現を心がけたい。すると、自分にとっても相手にとっても受け取りやすくなる。

「人の振り見て我が振り直せ」という言葉があるように、その人を見て嫌だと思うなら、自分の心の何かが反応しているのかもしれない。その正体を見つけ、輪郭をつけて言葉にできたなら、気持ちが楽になるだろう。ユーモアある表現で身近な人に話してみたら、共感してもらえて、さらに心が軽くなるかもしれない。

◇自分の仕事に名前をつける

 次は、自分の仕事に名前をつけてみる。あなたは、自分の仕事をどう捉えているだろうか。仕事について考えてみると、思いがあふれてくるだろう。不安と期待が混じった初心、密かに抱いていた目標、野心や野望……心の井戸から汲み上げてきた思いを見つめて、自分なりに名前をつけてみよう。そうすれば原点回帰ができて心が整うし、相手に自分の仕事を紹介しやすくなる。

 うまい表現が思いつかないなら、自分自身にインタビューしていけばいい。「どうしてその仕事をはじめましたか?」「どんな嬉しいことがありましたか?」などと問いかけていく。そして、言い換えたり、イメージを探したり、連想ゲームをしてみたり、語呂を考えてみたりして、名前をつける。

 自分自身への問いを積み重ねることで、自分の仕事の価値観が鮮明になってくる。名前をつけると、自分の仕事が新鮮に感じられて、愛着が湧いてくるはずだ。

◆現在を解釈する
◇違和感に名前をつける

 私たちが生きる「今」という時代はめまぐるしく変化している。この変化に乗り遅れまいと、無理をする必要はない。時代の流れに乗りながら、解釈をしていけばいいのだ。流されるのでも、塗り替えられていくのでもなく、解釈をして働きかけていく。

 そのためにまず、「違和感」を解釈しよう。周囲の人が当たり前にしている何かについて「あれ、おかしいな?」と思うことはないだろうか。そんなときは、立ち止まってその理由を考えてみてほしい。

 ニットの糸がほつれているとき、そのまま放置していると、その服全体がダメになってしまう。だが、気づいたときに対処しておけば、長いあいだ着続けることができる。これと同じように、違和感を放置せずに言葉にすれば、他の人と共有できるし、一緒に改善できることもある。違和感を見過ごさず、言葉にしてみよう。