言われたことをそのままやっておけば、間違いはないと思い、間違っていたとしても、それは「指示したリーダーの責任」だと思うのです。したがって、指示・命令ばかりのリーダーの下では、責任感も生まれず、自分で考えて行動する人には変われないのです。

あえて指示を出さずに
「逆質問」をしてみる

 ところで、冒頭で私は「リーダーが指示・命令を出さなくても、部下が自分で考え動いてほしい」という声が多いことを述べました。しかし、彼らの多くが、かつての私と同じように、指示を出しすぎていることが多いのです。いま一度、日々の自分の言動を振り返ってみてください。

 自分で考え、動ける部下に育てるためには、すぐにアドバイスや指示・命令を出すことは避け、「どうしたらいいと思うか」と質問し、本人が自発的に考え、行動させるように心掛けてみましょう。

 部下「秋の新製品キャンペーンの準備の件、来週中までに案内状を出す顧客リストを作成しようと思いますがいかがでしょうか?」

 リーダー「秋の新製品キャンペーンの準備のことを考え始めているんだね。いいぞ! まずは、案内状の顧客リストづくりから始めようということか。そのリストの重複についてはどう考えているのかな?」

 まずは「部下が自分で考え、行動する」という意欲を、「よくやった」と声に出して認めてあげましょう。そして、もしそれが間違った内容であれば、間違いを気づかせるような質問をするのです。

 指示・命令を出すだけがリーダーの役割ではありません。部下に自律的な働きを求めるためには、あえて指示・命令をしないという決断も必要です。