「部下がついてこない」コーチングは、どこが根本的に間違っているのかコーチングにおけるコーチは、相手と対等な立場に立つ。答を押しつけることなく、相手の中にある答を引き出すことで、その潜在能力を発揮させる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 どれほど大きな組織でも、組織は個人の集まりによって形成されている。組織の制度を上手く構築したとしても、個人の感情によって、もたらされる成果に大きな差が生じてしまう。組織を構成する個々人の力をいかに引き出すか。部署内のメンバーの心の繋がりをいかに確かなものとするか。これからの時代を生き抜く、活発な組織を作るためには、本書『新装版 目からウロコのコーチング なぜ、あの人には部下がついてくるのか?』で紹介されている「コーチング」の視点や方法が今まで以上に必要となるにちがいない。

 コーチングとは、相手の可能性を引き出し、自ら考えて行動することをサポートするスキルである。コーチというと、部活の指導者のような、厳しい指導を行う人物像が思い浮かぶかもしれない。だが、コーチングにおけるコーチは、相手と対等な立場に立つ。答を押しつけることなく、相手の中にある答を引き出すことで、その潜在能力を発揮させるのだ。

 本書では、コーチングの基本的な考え方と実践の方法にくわえ、「上司と部下」「銀座No.1ホステスと常連客」といった豊富な具体例が、わかりやすく提示されている。チームのリーダーはメンバーの力を引き出すためにどうすれば良いか。管理職として個々の部下とどのように向き合えば良いのか。こうした悩みを抱えている人にとって、人間の本性に根差した本書のメッセージが大いに役立つだろう。

 コーチング初心者の学びはもちろん上級者の振り返りにも効果的な「コーチング入門書の決定版」として、本書をおすすめしたい。(大賀祐樹)