続いて平井大臣と内閣官房IT総合戦略室の幹部がNTTから何度も接待を受けていたことが判明し、巨額の発注も行われていたことが報道されます。さらには平井大臣が親密なITベンチャー企業をごり押しする音声が判明し、のちに大臣規範に抵触する形でそのITベンチャーの株を平井大臣が購入していたことまで表に出ます。

 巨額の政府のIT投資予算を握った権力者が、予算配分でIT企業を恫喝したり親密企業を優遇したりする。そんな官庁が誕生したら、ますます日本はIT後進国になるのではないかという不安が広がったのが、この時期でした。

 しかし、冷静に考えてみれば平井大臣も日本の平均的な政治家の一人です。過去の総務大臣も同じような接待を受けていたことも判明していますし、総務省や国土交通省や厚生労働省などが政治家の権益になっていることは日本の政治の暗黙の前提です。

 その意味でいえば、デジタル庁の未来に重要な点は2点です。実際に組織を率いる官僚はどのような顔触れになるのか? そして新しく誕生するデジタル庁の権限はどのようなものなのか? この2点を確認することで、日本のデジタルの未来が政治家の魔の手からどう守られるのかの未来像が見えてきます。