ダイヤモンド編集部は、政府のITシステム投資を寡占的に受注してきた大手ITベンダーの天下り受け入れ状況を独自に調査した。受け入れ人数が最も多かったのはNTTグループの25人で、ITシステムの受注額においてもトップだった。特集『ITゼネコンの巣窟 デジタル庁』(全7回)の#4では、デジタル庁が断固として絶たなければならない官民の癒着構造を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
天下りした大使、幕僚長、長官、審議官の実名と
再就職先のITシステム受注額を大公開
9月1日に始動するデジタル庁の成否を分ける最重要ポイントは、「最先端のデジタル技術を使いこなせるかどうかではなく、お役所の業務の無駄、それを生む慣習や既得権益に切り込めるかどうか」(デジタル庁中堅幹部)である。
行政のデジタル化に合わせて、各業務・手続きを全面的に見直す作業が伴わなければ、非効率なお役所仕事をそのままシステムに置き換えるだけにとどまり、本質的な改善にはつながらないからだ。
そして、デジタル庁が切り込むべき大問題といえるのが、省庁から大手ITベンダーへの非効率なシステム発注の裏に潜む、退職した官僚の再就職、いわゆる「天下り問題」である。
ダイヤモンド編集部が大手ITベンダーの天下り受け入れ状況を調べたところ、各社が少なくない元幹部職員を採用していることが分かった。
それでは、「天下り天国」のあきれた実態を見ていこう。